2024年7月12日
株式会社ボナファイド
代表取締役社長 上野 修吾

市場背景

 AI、IoT、5G、Society 5.0等、急速に変化する時代の中、世界規模のパンデミックに端を発し、企業における働き方が大企業、中小企業という枠組みを超え改めて問われています。私たちが長年培ってきた当たり前が当たり前ではなくなり、ビジネス環境そのものの不確実性がさらに高まる世界になっています。このような時代の背景の中、これからの私たちの企業活動においては、お客様のニーズに対し迅速かつ的確に動くことが出来る姿勢をとること。そして新しい価値をお客様へ提供できる姿を目指していく必要があります。

経営(DX)ビジョン

 当社では1966年の創業時より、お客様のオフィス環境を快適にすることをミッションとして複合機の販売及びメンテナンスを中核のビジネスに据え活動してまいりました。様々なビジネスパートナーや数多くのお客様とともに私たちも成長してまいりました。

 2013年には、当社はお客様から求められた製品をお客様にお届けする「卸売業」ではなく、「お客様の成長支援サービス業」になることをあるべき姿として、今日まで活動してまいりました。

 そして、そこからさらに前へと進んでいく為、お客様の売上拡大、及び業務効率の向上を支援することにとどまらず、地域社会やお客様に一歩先んじて、ITの活用、自社実践により得た知見や見識をもとに、ITの持つ本質的な価値をお客様へ提供していく必要があると考えています。その為の第一歩として、まずは私たちの業務全体を改めて見つめ直し、デジタルの力を使い改善し、お客様とのつながりをより深いものにしてまいります。

■ビジネスモデルの方向性

 人や部門で管理していたデータを統合し、効率的なデータ管理を実現します。データの一元管理から、情報の重複や矛盾を防ぎ、正確なデータに基づいた意思決定をサポートします。さらに、データ分析の結果から得られる洞察を活用することで、ビジネスの戦略をより効果的に策定し、競争力を高めることができます。新しいシステムの導入に伴い、従業員のスキル向上や新たな知識の習得が促進され、人材の育成にもつながります。これらにより、持続的な成長と発展を遂げることを期待しています。

 このモデルを実現する活動から得られた知見や経験をもとに、お客様の DX 推進をサポート出来るDXパートナーとして、お客様と共に歩んでいける企業を目指してまいります。

■DX戦略

当社は経営(DX)ビジョンの実現に向けて以下の戦略に取り組みます。

  1. SFA/CRMのシステム整備と活用

     自社のデータ管理の課題を洗い出し、部分最適から全体最適へのシフトしていく活動をはじめています。必要な時にすぐに取り出せない。個別や部門別で管理しているためどこにあるかわからない。全員が同じ情報を確認することができない。正確性が担保されていない。などの様々な理由から各種戦略へ迅速に転換できていない状態を課題と捉えています。

     これらの課題を解決するために、2024年4月に新たなSFA/CRMを導入し自社内全体で活用を開始しました。併せて顧客データが蓄積されている基幹システムとのスムースな連携を行うため、人手に頼っていた部分を自動化し、正確性の担保と生産性の向上を目指す活動もはじめています。

     全体共有されたSFA/CRMの基盤上で取り扱う顧客・営業活動・ナレッジ等の各種データを分析し、結果をもとに意思決定を行っていくことを継続的に実施して得た成果から、新たなビジネスニーズの創出を目指してまいります。

  2. 人材育成・学習・教育環境の整備

     2024年からの取り組みとして、自社におけるITリテラシーを可視化するために、外部機関主催のアセスメントテストを営業部門・カスタマーサポート部門の全員が受講いたします。スコア化された結果から個々の強みや弱みを的確に認識し、以降も定期的に取り組むことで、スキルレベルの維持成長を数値的に把握してまいります。

     上記に併せ、学習に取り組みやすいよう環境整備に着手しています。誰が何について知見を深めようとしているのか、現在の進捗状況がどのようになっているのか、取得している能力や資格は何なのか、学習計画と実践結果を記録する「年間学習目標管理シート」を全体でタイムリーに共有し、個々のスキル向上を促すことで、人材を能力に応じた最適な部署に配置できる環境づくりを始めております。

     特にITスキルや情報セキュリティ面においては、協力会社の支援も頂きながら定期的な社内学習会や事例共有会などのセッションを開催し、継続して知見を深める活動を行っております。

     また、これらの先駆けとしまして、2023年に東京都が主催するDXリスキリング支援事業に代表取締役社長と他2名の社員が参加し、自社のDX推進に向けた基盤の整備のための知識やスキルを幅広く習得しました。この取り組みは事例集として以下に公開されております。

【東京都】DX人材リスキリング支援事業

DX人材育成のための学習プログラムを都内中小企業に無料で提供します。企業の課題に寄り沿う学習計画の策定から個別最適化した学習カリキュラムの提供までを一体的に行い…

これらの活動を通じて、個人や組織が成長する風土づくりを行い、時勢にあったより価値のある人材育成に継続して取り組んでまいります。

■DX推進体制

<推進体制と役割>

 2023年まで存在していたDX推進部、データ戦略室を統合し、2024年より新たに事業戦略部を設立いたしました。経営陣・社内各部門との連携を図りながらDX推進を加速させてまいります。

 事業戦略部はDX推進の中心的な役割を担当します。基幹システムと連携したSFAの定着・運用の推進をはじめ、データ整理・分析を行い、その結果をもとに戦略や企画の立案を行います。また、生成AI等の新たなデジタルツールの情報収集、活用シーンの想像、導入計画等を行い、新たなビジネスニーズの発掘を視野に活動してまいります。これらの活動を通じて各部門の人材教育・育成の一端も担います。

 代表取締役社長がDX推進の全権を担います。事業戦略部との連携はもとより、社内各部の横断的な取り組みの推進や、戦略として掲げている取り組みの進捗状況を定期的に把握し、今後に向けたや課題や方向性などについて、社内に向けてトップメッセージを継続して発信しております。

 また、最新デジタル技術・セキュリティリスクへの注意喚起・法改正への対応・セキュリティセミナーの開催情報、自社の取り組みなどを掲載した情報誌「Bona café」を2か月に1回、代表取締役社長のメッセージを添えて発行し、社外に向けた情報発信を行っております。



<戦略推進に向けた人材育成>

 企業活動において社員のリスキリングの重要性が叫ばれる中、戦略の実現をより確実なものにしていくために、社員のDXスキルの強化に注力してまいります。

 具体的な取り組み内容は以下の通りです。

  • 営業部門・カスタマーサポート部門の全員が外部機関のアセスメントテストであるe-GAIT(イーゲイト)2.0の考査を受け、ITリテラシーレベルを定期的に認識・把握します。

  • 個人単位で年間の学習計画を設定し「年間学習目標管理シート」に落とし込みます。情報セキュリティマネジメント試験をはじめ、ITリテラシー向上を中心とした学習を推進し、進捗の管理を全社レベルで行ってまいります。さらに学習内容に準じた取り組みの支援や、資格取得の成果を評価する制度を設定してまいります。

  • 協力会社との共催で最新技術や情報セキュリティのトレンドについて、定期的に社内学習会や事例共有会などを開催してまいります。

■DX戦略実現に向けた環境の整備

 社内業務の効率化を検討の要と捉え、SFA/CRMの最適化を図ってまいります。2024年4月に新たなSFA/CRMを導入し、基幹システムと連携させた上で、社内全部門で運用を開始しております。基幹システムとSFA/CRMのシームレスな連携を実現するため、データの受け渡しにRPAを活用し、ヒューマンエラーの低減とリソース確保を実現しております。クラウド環境でデータの一元管理を行うことで、いつでもどこからでも正確かつ最新のデータにアクセスを可能とし、多様化する働き方への対応や生産性の向上につなげてまいります。

 最新技術についても社内導入の検討を随時行ってまいります。特に様々な活用シーンが今後想定される生成AIにおいては、将来日常的にビジネスに活用されていくことを念頭に、2024年6月に社内各部門にトライアル環境を整えました。

DX戦略の達成指標

当社のDX戦略の達成指標として下記の指標を掲げます。

<SFA/CRMのシステム整備と活用>

  • 2024年4月に最適化したSFA/CRMを活用し、営業効率化とデータ分析結果をベースとした取り組みから、DX関連事業(ITプロダクト事業、ITセキュリティ事業、クラウドサブスクリプション事業)の2026年度の売上構成比率を全体の45.0%にすることを目指します。

<人材育成・学習・教育環境の整備>

  • 知識向上を目的に社内学習会や事例共有会を定期的に開催してまいります。
  • 情報セキュリティマネジメント試験について営業部門・カスタマーサポート部門で合計12名の合格を目指します。併せましてDX関連資格の有資格者数を公表してまいります。

これらについて、定期的に進捗確認を行い、経過を当社WEBサイトや発行する情報誌に掲載し公開してまいります。

以上